横断型基幹科学技術研究団体連合
Transdisciplinary Federation of Science and Technology
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NEWS LETTER
VOL.002 July 2004
<<目次>>

◆巻頭メッセージ
・「2年目を迎えて」

◆活動報告
・2004年度総会
・【特別報告講演】
 「技術者と知的財産権問題」
・「横断型科学技術の役割とその推進」シンポジウム報告

◆特別講演要旨
「学際的なダ・ヴィンチ科学へ向けて── 顔学からのアプローチ ──」
・「新産業の創出と基盤技術」

◆参加学会の横顔
・経営情報学会
・日本統計学会

・日本ロボット学会

◆イベント紹介
「横幹連合とWSTST'05 について」

◆編集後記
 


 
NEWS LETTER No.002, July 2004
◆巻頭メッセージ
2年目を迎えて
横幹連合 副会長  木村英紀((独)理化学研究所)
 横幹連合も発足2年目を迎えました。昨年度は発足に漕ぎつけたことに安心して、少し気持ちがゆるんでしまったような気がします。活動を本当の意味での軌道に乗せることができたとは言い切れず、加盟学会のいくつかからは、「連合の顔が見えない」というお叱りも受けました。連合が自己主張すべき発言の場を自ら作ろうとする努力に欠けていたきらいもあり、連合が主催して外向けに行った催し物もわずかでした。とはいえ、活動もそれなりに行われました。連合を母体とした文科省の科学技術振興調整費による政策提言プログラム「横断型科学技術の役割と推進」も順調に作業が進み、3月には部厚い成果報告書を提出しました。以下、このプログラムについて少し詳しくご報告します。

 このプログラムでは83名の連合に関連する方々に委員をお願いし、6つの分科会と4つのワーキンググループに分れて延べ60回の会合を開きました。3回の海外調査、1,300人以上から回答を得たアンケートの実施、2回の公開シンポジウムの開催を含めると、きわめて大がかりなものでした。
 報告書の骨子は次の3つです。
(1) 知の細分化が極限まで進む一方、科学技術が解くべき問題は知の統合がもとめられている。このギャップを埋めることが重要である。
(2) 知の統合は困難な課題であり、科学技術政策の根幹である。横断型科学技術は知の統合のための有力な武器である。
(3) わが国は「モノつくり」は得意であるが、現代社会は「モノ」から「コト」へ重心を移しつつある。「コトつくり」を推進することを通して知の統合をはかることが必要である。

報告書は次の5つの具体的な提言をしております。
(1) 横幹科学技術を第三期科学技術基本計画の重要課題のひとつとして取り上げること。
(2) 細分化に抗する統合の推進のために、科研費の配分方式を抜本的に改めること。
(3) 横幹科学技術を推進する担当官をおくこと。
(4) 横幹科学技術機構の設立。
(5) 横幹科学技術のための教育を推進する。
 この提言がどのような形で実を結ぶか、現状では何とも言えませんが、問題が重要であることは次第に理解されつつあることを肌で感じています。今後、各省庁への働きかけを通してこの提言が少しでも実現するように努力したいと思います。このプロジェクトに参加してくださり、いろいろな形でプロジェクト遂行にたずさわり、あるいは支援してくださった委員の方々、ヒアリングに応じてくださった方々、そして事務にたずさわって献身的に働いてくださった事務局の方々に、この場を借りて心からお礼を申し上げます。

 また、昨年度は横幹連合の産業界の側のパートナーとなるべき横断型基幹科学技術推進協議会(略称:横幹技術協議会)の準備が桑原 洋氏(前総合科学技術会議議員)と舘 暲 教授(東大)のご尽力で進み、今年4月には発足する運びとなりました。これについてはいずれ舘先生から詳しいご報告があると思います。横幹連合としては、横幹技術協議会が提起する実際の問題をしっかりと受け止めて、総力を上げて解決する態勢を作り上げて行きたいと考えております。ご協力をお願いいたします。

 調査研究委員会も4つ立ち上がり、そのうちの2つはすでに実質的な活動を開始しております。また、横幹連合の見事なパンフレットが原田 昭 教授(筑波大)と井上事務局長のご尽力でできあがりました。また、ホームページも井上事務局長の指導のもとで、事務局の清水さんが作ってくださいました。着々と態勢は整いつつあります。新しく事業・広報委員長に就任された谷江和雄理事(産総研)にぜひ、すばらしい事業企画をお願いしたいと考えております。

 今年度は横幹連合の飛躍の年です。まず、横幹連合とは何であるかのイメージが鮮明に打ち出せるような事業を行う必要があります。横幹科学技術とは何か、をはっきりさせるための学問論と、その重要性を社会に広くアピールする活動も精力的に行う必要があります。政策提言プロジェクトの報告書がそのための資料として使えるはずです。必要な方は事務局にご請求ください。横幹技術協議会を通した産業界との連携も強化する必要があります。「産業再生」のカギは横幹科学技術の推進にあることを、あらゆる機会を通して訴えていきたいと思います。

 今年度は新しく4人の理事をお迎えしました。吉川弘之会長を先頭に、全理事が力を合わせて飛躍の年にしたいと思っています。


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