QC サークル活動(小集団改善活動)

 概要

QCサークル活動は、現場の品質管理普及を目的とした雑誌「現場とQC」の1962年発刊時、故石川馨氏(当時、東京大学工学部教授)が、「読者で輪読会を開催し、雑誌を教材としてQCを勉強するグループを結成して欲しい」と呼びかけ誕生し、日本科学技術連盟内にQCサークル本部を設立し、QCサークルの登録制度が創設さ改善体験事例を共有する場として1963年5月に第1回QCサークル大会が開催され、1970年にはQCサークル綱領も、わが国の改善活動の中心的な場として定着するとともに、活動は全盛期世界80か国に進出しKaizen を世界共通言語にするまでに至った。日本の20世紀における産業競争力急進を支えた日本が誇るコトつくりと考えられる。

 コトつくりにおける訴求点

1.活動の科学性
問題解決型QCストーリー、課題達成型QCストーリーといった改善の標準シナリオを適用するとともに、その支援管理技術としてのQC7つ道具(統計的方法)、新QC7つ道具、商品企画7つ道具などを時代の変遷とともに開発し、科学的改善活動を行っている。

2.自律性
現場の自律的な創意工夫力を最大限に発揮させることで、人間性を尊重した全員参加の企業文化醸成に貢献した。

3.知の共有
実践値の共有の場としての、雑誌や大会を半世紀以上国内外で系統的に企画・実施し、2018年度には第6000 回記念QCサークル全国大会が開催された。なお、2017 年時点での登録QCサークル数は、全国で53267 サークル、参加者は489590 名である。

4.国際的な影響
日本の小集団改善活動は1990年代以降、その強い影響を受けたSix Sigma活動や関連ISO国際規格(ISO 18402等)を国際活動を派生し、現在に至っている。

 参考URL

 推薦論文

QCサークル活動 ―国際化した小集団改善活動―

 講評

当該活動は従来のトップダウン型の品質管理から、現場を中心としたボトムアップ型の品質管理および研究を推進するものとして、多くの企業人や研究者に対して影響を与え、新たな行動様式を生み出した。コトつくりの評価基準からこれら活動を考察した場合、先導力においては「他に先駆けてボトムアップを推進した」点、規範力においては「QCサークル活動として全国各地に活動を広げた」点、意味力においては「現場の声を集め、それらを展開・共有化した」点、解決力においては「品質管理において重要な要素である現場の知識を集合知化した」点が高く評価でき、いずれの観点においても成果の大きい本活動は高く評価できる。

 コトつくりに特に寄与した要因

  1. 早期における産学連携体制の構築
  2. 現場に着目したボトムアップ型研究活動の推進
  3. QC七つ道具などに見られるような知識の集積にもとづいた形式知・記号化