タグチメソッド

概要

タグチメソッドは、田口玄一博士が開発した方法論の総称である。主として、パラメータ設計、マハラノビス・タグチ(MT)システム、損失関数が3本柱となる。 パラメータ設計は、使用条件・環境条件・劣化条件などのノイズに頑健となる良品条件と見出す田口流実験計画法である。MTシステムは、異常検知や予測を行うための田口流多変量解析法である。そして、損失関数は品質管理に経済性を持ち込むために開発された手法である。

コトつくりにおける訴求点

欧米で用いられ、わが国でも普及している伝統的な実験計画法(Fisher流実験計画法)は主に等分散性の仮定のもと、平均への効果の有無を実験データに基づいて解析する。一方、平均よりもばらつきを重視するという方針から田口博士はパラメータ設計(ロバストパラメータ設計ともいう)を提唱された。その方法論や考え方は、様々な応用事例に適用できるように大きく拡張され、世界中で用いられて成果を上げている。
また、異常検知問題の解析手法として提案されたMT法については、やはり、様々な応用事例に適用できるように拡張され、新たな多変量データ解析の手法として技術者に広く普及しており、それらの手法は総じてMTシステムと呼ばれている。そして、品質活動は経済性と密接に関連すべきであるという田口博士の主張に基づき、ばらつきをコストで評価する損失関数も独自の応用事例に展開されている。
いずれの方法論も極めて広く応用されており、タグチメソッドとして、わが国が世界に誇るデータ解析 ・管理 技術として認められている。なお,タグチメソッドを研究・普及する学会として品質工学会がある。

参考URL

 推薦論文

コトつくり「タグチメソッド」の推薦と考察

 推薦学会

日本品質管理学会

講評

タグチメソッドは「ばらつきに着目する」ことで「生産現場で発生する様々なノイズの影響を最小化し、品質管理を効率化する」ことを目指した手法群であり、伝統的な実験計画法を全く違う側面から発展展開させたものと理解できる。また、特筆すべきは手法群に複雑な統計学手法を可能な限り除去する一方で損失関数など、企業活動として必要となるであろう「コストの概念」を導入した点である。こうした「生産現場で起こりうる要求を発想の原点とした」ことで産業界を中心に広く受け入れられたといえ、この点がコトつくりとして高く評価できるポイントと言える。

コトつくりに特に寄与した要因

  1. 現場で起こりうる要求を発想の原点とした点
  2. 損失関数など、経済活動を起点に手法を考案した点
  3. 実際に生産現場へ導入しながら手法に改良がなされた点

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