横断型基幹科学技術研究団体連合
Transdisciplinary Federation of Science and Technology
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NEWS LETTER
No.004
December 2005
<<目次>>

◆巻頭メッセージ
・「次の飛躍を目指して」

◆活動紹介
・第1回横幹連合コンファレンス 参加報告

◆参加学会の横顔
・形の科学会
・日本社会情報学会

◆イベント紹介
・第3回横幹技術フォーラム
・これまでのイベント情報

 

NEWS LETTER No.004, December 2005
◆参加学会の横顔
横幹連合の参加学会をご紹介していくコーナーです。
今回は、「形の科学会」と「日本社会情報学会」の各学会長に電話でお話を伺いました。本多久夫先生、遠藤 薫先生、ご協力ありがとうございました。 
(文責:横幹連合ニュースレター委員会)
形の科学会 日本社会情報学会

形の科学会
「形をキーワードに科学を横断する」

形の科学会は、3次元の立体構造をその断面における測定データから再構築する「ステレオロジー」(生物学、医学や粉体工学など)と、「形の物理学」つまり、よく似た形が現れる背後には共通する法則があるという認識(数学、物理学、化学、生物学、地形学、建築学、都市計画など)の2つの研究グループが合流して、1985年に発足しました。
研究の領域は、おおまかに、(1)空間の性質(多面体などの性質、空間の分割や充填、結晶、配列など) (2)形態形成の機構(物理学、化学、生物学、医学、地形学、家系図、小説の構造などの形の生成機構) (3)形の計測(複雑な形を含む形の計測やデータ解析手法) (4)設計、アートへの応用(建築、都市工学、アート、デザインなど)と、多岐にわたっています。
この学会について、会長の本多久夫先生(兵庫大学)に、お話を伺いました。

Q:研究範囲が幅広いのですが、どのような問題意識でみなさん参加されているのでしょうか。
A:『形の科学百科事典』(第59回毎日出版文化賞)などをぱらぱら見ていただくとヒントが見つかるかもしれませんが、「形」について本腰をいれて研究しようというみなさんの学会です。「設計」や「アート」、医学で解剖的特長の分析に使われている「ステレオロジー」などはプライマリーな専門分野ですが、例えば、分子生物学などの非常に抽象化された専門分野の方が、本来ご自身が関心を持たれていた、生物の形の美しさとか好みとかを、「形」という切り口から専門分野を生かして研究してみたいときなどに、セカンダリーな学会としてここに参加される。そうしておけば、定年などでプライマリーな研究の機会が制限されてしまった場合でも、研究が続けられるといった効果もあるでしょう。
長野での第1回横幹連合コンファレンスの予稿集(CD-ROM)に、「ボロノイ分割」という一つの機構が細胞集団の組織や動物のなわばり、村の共同施設の配置など、思いもよらない異なった分野で働いていることをご紹介しました。ニュートン力学は分子から天体まで幅広く異分野を横断していますが、ニュートン力学などと、また違った「ものの見方」が(専門分野を超えて)諸分野を活性化できると考えています。

Q:学会内部での、横幹的な交流の成果をご披露いただけますか。
A:年2回のシンポジウムの記録をホームページからたどっていただければ、幅広い分野を横断してセッションが行われているのがおわかりいただけると思います。英文の学会機関誌の「FORMA」は、学術論文の検索エンジン(http://scholar.google.com/ など)で、FORMA+著者名と検索して頂ければ、PDFで本文そのものが閲覧できます。(専門学会誌での掲載には、査読に時間のかかりそうなテーマであっても)「形」に関係する論文であれば、査読して掲載をしています。
また、『形の科学百科事典』は、編集委員のみなさんのご苦労でまとめられた事典ですが、学会員に限らずおもしろく読んでいただけることでしょう。

Q:第1回横幹連合コンファレンスに参加されて、どういった印象を持たれましたでしょうか。
A:非常に興味深く、さまざまな学会の発表を聞くことができました。贅沢な経験でしたが、聴講者が少人数の部屋もあったのでもったいないと思いました。例えば、並列するセッションの数が少ない時間帯で参加学会の活動の紹介をもっと大勢の人が聞けるような形式も、今後工夫されてはいかがでしょう。何年かに一度、各学会の紹介だけをまとめて聞けるセッションなどがあっても、楽しいのではないでしょうか。

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日本社会情報学会
「理を通貫する新たな知の視座」

「社会情報学」とは、(1)「情報」という視点から、社会システムに関する理論の枠組みを再構築する、(2)新しい情報/コミュニケーション・ネットワークと社会システムの関係を探求する、という特徴をもった、新たな学際的学問領域です。インターネットが日常的に使われている時代にあって、「情報とは何か?」「情報技術の進展は、人間関係や社会の構造にどのような変化をもたらしつつあるのか?」「望ましい社会のデザインは何か?」といった根幹的な問いに答えようとしています。対象とする問題を体系的に位置づける「基礎理論」、対象とする現象を客観的に記述する「実証・分析」、問題解決のための「具体的な実践」という3つのアプローチが、互いに互いのエンジンとなって、「社会情報学」という全体を前進させています。
この学会について、会長の遠藤 薫先生(学習院大学)にお話を伺いました。

Q:1985年に創設された日本都市情報学会が96年に現在の名称となったそうですが、研究対象が広がったことで学会の名称を変えられたのですか。
A:そう言ってもいいかもしれません。「情報」という切り口からの分析は、「都市」システムだけではなく、「社会」システム一般に応用できるという考え方が広まったからだと思います。そうして、個人と社会(国家)の係わりという統一的な分析や実証がむつかしい対象にも、多様なモデリング手法などが提供できるようになってきました。そのことから、社会科学と自然科学が歩み寄って、互いに理解しあえる機会も増えたように思います。会の名称が変わったことには、そうした背景もあったと思います。

Q:「これは任せてほしい」という分野は、強いて言えばどのあたりでしょうか。
A:学会誌の目次をご覧になればおわかりになると思いますが、幅広い対象が扱われています。そうですね、強いて言えば、シミュレーションやゲーム理論などを使って、社会政策などの施策にさまざまな選択肢を提供したり、その予測される結果を実証的に推理・推論できるというのも、社会情報学の特長かもしれません。そうすることで、より良い施策が選択される可能性も増えるだろうと思われます。
学会誌について言い添えますが、幅広い対象を扱っておりますが、どんな内容でも、それぞれの専門家によってきちんと査読されています。それは、本学会の誇りなのです。

Q:長野の第1回横幹連合コンファレンスに参加されて、どういった印象を持たれましたでしょうか。
A:43もの学会が集まったのは、すばらしいことですね。最初の一歩として貴重なコンファレンスだったと思いますが、今後は社会科学系の発表も、もっとあって良いように感じました。日本社会情報学会では、社会科学と自然科学の相性が良いので、こうした面からも貢献していけたらと考えています。でも、さまざまな分野の方が聴講しておられたので、詳しい説明をするためにも、発表の時間がもう少し長くほしかったですね。

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