横断型基幹科学技術研究団体連合
Transdisciplinary Federation of Science and Technology
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NEWS LETTER
No.005
March 2006
<<目次>>

◆巻頭メッセージ
・「産業界と連携した実問題の解決」

◆活動紹介
・第9回横幹技術フォーラム 参加報告

◆参加学会の横顔
・日本植物工場学会
・日本リモートセンシング学会

◆イベント紹介
・第10回横幹技術フォーラム
・第2回技術シンポジウム
・横幹連合2006年度総会・講演会
・これまでのイベント情報

NEWS LETTER No.005, March 2006
◆参加学会の横顔
横幹連合の参加学会をご紹介するコーナーです。
今回は「日本植物工場学会」と「日本リモートセンシング学会」の各学会長にお話を伺いました。村瀬治比古先生、岡本謙一先生、ご協力ありがとうございました。 
(文責:横幹連合ニュースレター委員会)
日本植物工場学会 日本リモートセンシング学会
 

日本植物工場学会
「植物の高度生産技術を研究開発」

日本植物工場学会は、わが国および世界におけるハイテク農業を専門に扱う学会として、農業と工業を融合する広義の植物工場、およびそれに関連する諸技術の研究を振興すると共に、積極的な提言や国際的な活動を行い、会員相互の連絡を図ることを目的として1989年4月に設立されました。
対象としているのは、
☆植物生産のための新技術の開発と導入(環境制御技術、省エネルギー技術、微生物による資源の再利用、養液栽培技術、宇宙での植物生産など)
☆植物生産に関連する基盤研究(新光源、生育促進物質、生物農薬、植物のアメニティ効果、植物モデルなど)
☆生産システムおよび生産物の評価(生産物の品質調査、設備規格化、経済性の評価など)
☆植物生産技術と社会・文化(農業・食糧・環境問題と植物生産技術など)のような分野です。
この学会について、会長の村瀬治比古先生(大阪府立大学)に、お話を伺いました。

Q:食糧自給率40%(主要先進国中の最低)。穀物自給率は、世界173か国中の124位(2002年)というわが国の現状下で、植物の工場生産はどのような役割を期待されているのでしょう。
A:国際分業といった考え方もあるのでしょうが、すでに危機的な状況になっていて、気候変動などの影響で作物の生産適地が適地ではなくなっているケースも現実に起きています。また輸入食料の農薬の問題など、今表面化していなくても、気が付いた時には手遅れというような問題もあります。耕作を止めてしまった田畑は、簡単にはもとの生産力を回復致しません。植物工場は、食料生産における国家レベルの危機管理の一環として、いざというときの手段を用意しようと考えているとも言えるのです。植物を工場で生産すると言うと、SF的なイメージを持つ方も多いでしょうが、むしろ、エネルギー効率、環境、安全などについて「最適化」を可能にする植物工場技術の側面に注目して頂きたい。また、食料を外国から一方的に輸入するのみでは、ある意味で日本に「窒素汚染」を引き起こすことになるとも言えますから、バランスを取るためには「生ゴミ」を海外に輸出しても良いか、といった議論にもなるわけです。このような自給自足に関わって食料生産の「最適化」という課題に、ある提言をしようとしているのが植物工場学会です。

Q:日本農業気象学会、日本生物環境調節学会などの他学会と協調して、各学会が持ち味を生かした「横幹」的な連携を取っておられるようにお見受けするのですが、工夫や秘訣があれば、ご伝授ください。
A:2005年度から「農業環境工学関連7学会」が合同して、年次大会を始めました( 日本植物工場学会、日本農業気象学会、日本生物環境調節学会、生態工学会、農業機械学会、農業情報学会、農業施設学会の7学会、会員合計約5,000人 )。これらの学会には、生物を対象とした農業工学という共通の基盤(方法論)があるので、例えば、葉脈の中の水分の流れには流体力学、また植物生長の解析には画像処理といった共通の「ものさし」を各学会が夫々の得意分野に応用していることが、コミュニケーションの基礎となっています。文理融合の一つのモデルだとも言えるでしょう。

Q:第1回横幹連合コンファレンスに参加されて、どういった印象を持たれましたでしょうか。
A:農業が農業だけ、工業が工業だけに特化して論文を書くのも、もちろん結構なのですが、どうやってユニバーサルに全体を見るかが、ますます重要になってきました。多くの分野を瞥見できたという意味では、短時間の講演であっても非常におもしろかった。とにかく、そのような活動を「続ける」ことが肝心ではないかと思います。また、長野でお会いしたことをきっかけに、ある学会と共同研究を始めることとなり、公募などにも応募しております。

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日本リモートセンシング学会
「地球環境・資源・災害の遠隔探査」

(社)日本リモートセンシング学会は、リモートセンシングに関する研究の連絡、提携を図り、学問および技術の発展、普及に寄与することを目的として、1981年5月に設立されました。
地上にあるあらゆる物質は、電磁波(可視光や赤外線、紫外線、電波など)を受けると、物質の性質に応じて(波長帯毎に固有の)反射したり吸収する性質を持っています。この原理を用いて、地上から反射したり放射したりしている電磁波を人工衛星や航空機のセンサを用いてとらえることにより、地球表面付近の大気の状態や森林の生育、海や河の汚れ、砂漠化の状況などを観測することができるのです。このような観測方法を、リモートセンシングと言います。
学会員の活動分野は、したがって、環境監視、気象、海洋、生態、地理、測量、地質、資源探査、農林業、水産、土木、建築、情報、計測、機械、宇宙開発、行政などの幅広い分野にわたり、既存の学問領域を越えた闊達な議論が進められています。学会発足後から、学会誌の発行、各種研究会や講演会を開催して学問の普及に勤め、会員相互の親睦・連絡が図られてきました。
この学会について、会長の岡本謙一先生(大阪府立大学)に、お話を伺いました。

Q:学会の歴史が20年以上と長く、岡本先生は11代目の会長でいらっしゃるのですが、やはり、会長のご専門や時代の要請などによって、各会長の時代には特色がありましたでしょうか?
A:初代の会長は、気象庁長官をされた(故)和達清夫氏でしたが、それ以降は学際的な学会であることを反映して、さまざまな分野を専門とされる方が会長を務められました。ただし、「マルチカルチャーの接点に新たな技術文化を創造していく」という点では、歴代会長は共通の理想を持って、新しい学問体系を構築する喜びに参加されて来られたと思います。また、本学会は、日本の地球観測衛星の歴史と共に歩んできたと言うこともできるかもしれません。わが国初の地球観測衛星 MOS-1(87年)は、NASAの地球資源技術衛星(ERTS、72年)から15年遅れて実現しましたが、リモートセンシング技術の発展にとって重要な役割を果たしました。その後、JERS-1、ADEOS、TRMM、ADEOS-II、ALOS と続きましたが、当学会の多くの会員は、これらの衛星データを使って学際的な研究を行ってきました。

Q:地球環境変化への警鐘や、諸外国と協調しての資源探査、災害時の被害状況の把握などにリモートセンシング技術は大変に有効です。一般などへの啓蒙普及に、こうした切り口の情報提供はタイムリーであると思うのですが。
A:韓国、台湾や諸外国の研究者との交流も、各国での学会発表に相互に参加するなどの形で積極的に行われています。また、長野の第1回横幹連合コンファレンスでは防災に関するセッションを担当し、鬼山昭男副会長がスマトラ島沖地震による津波被害や新潟県中越地震の際の地すべりなどについて発表されました。このような課題については、マルチカルチャーの接点に新しい技術分野を構築する本学会の特色がよく出ていることと思います。また、学会の企画委員会が中心となって、学生や一般市民を対象とした講演会を毎年数度開催し、リモートセンシング技術の普及啓蒙活動を行っています。例えば、2005年1月には大阪府立大学で「高解像度センサによる宇宙からの地球観測 −新しい文化の創造を目指して−」と題して講演会を行い、(財)地球科学技術総合推進機構の坂田俊文先生に基調講演で「宇宙から見た古環境」のお話をしていただきましたが、大変に好評でした。

Q:今後の学会の活動について、抱負をお聞かせください。
A:海外のリモートセンシング関係の学会との新たな協力関係の構築や、国際的な学術講演会の開催などを企画したいです。会員へのサービスとして、リモートセンシングに関するCPDの導入を検討しております。また、学生や市民を対象としたセミナーなども継続して行きたいと考えています。さらに、学会が、現在の受託研究を発展させたプロジェクト的な研究面での企画を実施する仕組みを作ることができないか、検討をしているところです。

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